山下哲生総領事離任ご挨拶

JETAAの皆様から心のこもった折鶴。（写真右上）カナダから日本へ。東日本大震災からの復興。がんばれ日本。

応援するカナダ。素晴らしい　あたたかい気持ち。絆。深く深く感謝します。

 

 

 

 

 

April showers bring May flowers.

平成２３年４月１日付　帰朝を命ず。トロントを離任することとなりました。

平成２０年１２月１９日、大雪の中、スウェーデンから転勤してきたトロント。多くの在留邦人と知り合い、日系人の方々とお友達になれたトロント。

皆様と大きな仕事を達成したトロントを去ることとなりました。

平成２１年。着任してすぐに、天皇皇后両陛下ご来訪準備。とても多くの素晴らしい方々とお知り合いになり、皆様とご一緒に天皇皇后両陛下を奉迎。素晴らしいとても思い出に残る歴史的なご訪問。美しい絵巻物。小児病院での皇后様の子守唄にはテレビを見ている方々も涙しました。日本とカナダとの外交樹立８０周年。

平成２２年。レイモンド・モリヤマさんを顕彰するサクラ・ボール。Ｇ８　Ｇ２０。物々しい市内の警備とは打って変わって、静寂と優雅な国際交流基金に和服をお召しの菅伸子総理夫人をお迎えした裏千家の立礼。石川薫在カナダ大使ご夫妻をトロントにお迎えした日系文化会館での歓迎式典。礎ディナー。日系人歴史セミナー。平成２１年の新移住者協会外務大臣表彰。角口静子先生叙勲。平成２２年の三枝与一元新移住者協会会長叙勲。新企会総領事表彰。多くの楽しい思い出はつきません。

平成２３年。サクラ・ボールを心待ちにしていた３月１１日。有史以来はじめて。未曾有の被害をもたらしている東日本大震災。被災された皆様、ご家族、ご友人に改めて心よりお悔やみを申し上げます。本当に多くのカナダの方々、オンタリオの皆様からあたたかい励ましの言葉、支援の用意、毛布、千羽鶴、お手紙。心より感謝を申し上げます。

私ども夫妻と、槇峰美那公邸料理人はトロントを去ることとなります。東日本大震災対応、石川薫大使トロント来訪、ディビッド・スズキさんにサクラ・アワードを授与するサクラ・ボール。全てオンゴーイングのまま去ることは心苦しいことですが、二年間も多くの行事をご一緒して楽しかった思い出。後任総領事が着任するまでの間、非常に優秀な山本信明首席領事が総領事代理。総領事館の心のあたたかい職員一同がチームワークで皆様の役に立つ総領事館を目指してがんばります。日本政府の発信塔として目立つ総領事館。そして素晴らしい方々の輪と和に入っていく食い込む総領事館。

お世話になった皆様にきちんと挨拶しないまま離任します。東日本大震災によるおびただしい犠牲者の数々。悲しみが癒えないご家族。家を失い、職を失い、家族を失い、友人をなくした被災者のこれから。まだ行方不明のままの方々。甚大かつ未曾有の被害。福島第一原子力発電所の気の遠くなるようなトラブル。放射能漏洩。世界各国から駆けつけた専門家の必死のご尽力にもかかわらず収束に向けた見通しは立っていない厳しい状況。皆様とまたお酒を酌み交わして懇談できる復興の日々が早からんことを東京で祈り、また微力ながら何が出来るかを考えます。在任中、皆様方に大変お世話になりました。皆様方の御健康、御活躍とともに、日本とカナダとの関係が更なる発展をするよう祈念します。本当にありがとうございました、お世話になりました。

山下哲生

追伸

鶯は まだ声せねど 岩そそぐ垂水の音に 春ぞ聞ゆる

式子内親王

久安５年～建仁元年。後白河天皇の第３皇女。新三十六歌仙

夜明け前が　もっとも暗い。今が困難でも　突破口は必ず開ける　人生は好転する。 チームワークと幸運を信じて希望と勇気を持って力強く元気に前に進みましょう。

Listen Up: News That Takes You Deeper

１９７８年の外務省入省後は、外務省国連局、北米局、経済局、総合外交政策局、中南米局、儀典官、式部官、両陛下欧州御訪問準備室長、独立行政法人宇宙航空研究開発機構等を歴任。

海外勤務は米国、インドネシア、ＥＣ代表部（ブリュッセル）、台北、ドイツ、バングラデシュ、そして前任地のスウェーデンでは2007年３月から08年12月まで日本大使館公使を務めた。

１９５４年　三重県生まれ。本籍は福岡県。
新潟県立高田高校卒業　東京大学卒 。

ハーバード大学ロースクールにおいて法学修士号取得 。